米国政府が押収した暗号資産(仮想通貨)の関連アドレスから、約4,000万ドル(約61億円)相当の資金が盗み出された事件を巡り、オンチェーン調査家ZachXBT氏の告発が注目を集めている。同氏は25日、犯行に関与した疑いのある人物として、ジョン・ダギタ氏(通称Lick)の名前を挙げ、同氏が政府関連契約企業経営者の息子であると公式Xで指摘した。
ZachXBT氏の23日の投稿によると、容疑者とみられるダギタ氏は米国政府の押収・没収アドレスと直接結び付くとされるウォレットで、約2,300万ドル(約35億円)相当の暗号資産を保有している様子を誇示していたという。
このウォレットは、2024年に発生した米政府関連の不正流出事件を含め、総額9,000万ドル(約138億円)超に上る暗号資産の窃盗と関連している可能性があるとされている。また、ダギタ氏が別の攻撃者と暗号資産の保有額を競い合うやり取りも確認され、その全てが記録されていたという。
今回の問題で注目されているのが、ダギタ氏の父親が所有するCMDSSという企業の存在だ。CMDSSは、米国保安官局(USMS)が担当する、押収・没収された暗号資産の管理や処分を支援する業務を請け負っていたとされている。こうした契約関係を背景に、内部関係者を通じて政府管理下の暗号資産にアクセスした可能性が考えられる。
一方でZachXBT氏は、ダギタ氏が実際にどのような経路で権限や情報を取得したのかについては、現時点では不明としている。ダギタ氏による単独の犯行であるのか、CMDSSも関与した組織的な犯行であるのかという点は、今後の同氏の調査報告が待たれる。
なお、ZachXBT氏は自身の投稿後にCMDSSのXアカウントや公式サイト、リンクトインページが相次いで削除されたことを共有。さらに、ダギタ氏本人は告発後もテレグラム上で挑発的な行動を続けていると付け加えた。
現段階では捜査当局による公式発表はなく、これらの疑惑はZachXBT氏の調査と公開情報に基づく指摘にとどまっている。今後は、政府機関や司法当局がどのような事実確認や説明を行っていくかが焦点となりそうだ。
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