世界最大の資産運用会社BlackRock(ブラックロック)が、ビットコイン(BTC)投資にインカム(収入)の要素を加える新たなETF(上場投資信託)を申請した。

米証券取引委員会(SEC)への提出書類によると、同社は「iShares Bitcoin Premium Income ETF(iシェアーズ・ビットコイン・プレミアム・インカムETF)」の上場に向けてForm S-1を提出。暗号資産(仮想通貨)ETF市場への関与をさらに深める姿勢を鮮明にしている。

今回の新ETFは、ビットコインの価格へのエクスポージャーを得ながら、同時にオプション戦略で収益を生む設計が特徴だ。

具体的には、ビットコインを直接保有する、あるいは既存のビットコイン現物ETFであるiShares Bitcoin Trust(iシェアーズ・ビットコイン・トラスト:IBIT)の保有を通じて値動きを追い、そこに対してコールオプションを売却する「カバードコール」戦略を用いてプレミアム(オプション料)収入を狙う。

カバードコールは株式のインカム型ファンドでは一般的な手法で、保有資産に対して「一定価格で買う権利」を市場参加者に売ることで収益を得る。投資家にとっては、オプション売却で得たプレミアムを分配として受け取れる一方、上昇局面では利益が限定されやすくなる。言い換えれば、値上がり益の一部を手放して、収益を取りに行くトレードオフが前提となる。

SEC提出資料の段階では、同ETFのティッカーや手数料はまだ明らかになっていない。ただし、運用はアクティブに行われ、カバードコール戦略で得たプレミアムを投資家に収益として配分する構造になるとされる。

類似する戦略のビットコイン関連ETFとしては、RoundhillのBitcoin Covered Call Strategy ETF(YBTC)、AmplifyのBitcoin Max Income Covered Call ETF(BAGY)、NEOSのBitcoin High Income ETF(BTCI)などがすでに存在する。

それでもブラックロックの参入が注目されるのは、その規模とIBITとの結びつきにある。IBITはビットコイン現物ETFとして支配的な存在になっており、運用資産は約697億〜697億5000万ドル(約10兆7300億円〜約10兆7400億円、1ドル=154円換算)規模に達している。さらにブラックロックのビットコイン関連ETFは成功が際立っており、同社の主要収益源になっているとも報じられている。

一方、インカム型ETFならではの注意点もある。カバードコールETFは高い分配を提示できる反面、分配の仕組みによっては基準価額(NAV)が薄まりやすい傾向があるとされる。例えば、YBTCは分配率が35.87%、BTCIが27.25%、BAGYが37.1%となっている。

また、分配を除いたパフォーマンスでは、ビットコインのボラティリティが大きいこともあり、これらのインカム型ビットコインETFが現物のBTCを下回ってきた状況も伝えられている。直近12カ月ではBTCIが約31.3%下落、YBTCが45%下落で、ビットコイン自体の14%下落より大きい。2025年4月下旬に登場したBAGYも設定来で25%下落しているという。

|文・編集:Shoko Galaviz
|画像:Shutterstock


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