米資産運用会社WisdomTree(ウィズダムツリー)は、同社の「WisdomTree Treasury Money Market Digital Fund(ウィズダムツリー・トレジャリー・マネー・マーケット・デジタル・ファンド:WTGXX)」について、24時間365日の取引および即時決済機能を開始すると発表した。これは、1940年投資会社法に基づく登録ミューチュアルファンドのトークン化シェアが、米国の規制枠内で24時間取引・即時決済を行う初の事例となる。

本機能は、米証券取引委員会(SEC)からの特例承認を受けて実現したもので、ウィズダムツリーの関連ブローカー・ディーラーがディーラー・プリンシパル型の流動性モデルを通じて、USDコイン(USDC)との取引を24時間提供する。これにより、登録トークン化ファンドシェアに初めて、本格的な二次市場流動性が付与される。

従来の資本市場では、取引から決済までにT+1(約定日の翌営業日)などの時間的ラグが存在する。一方、今回導入される即時決済は、ブロックチェーン上でリアルタイムに取引を完了させる仕組みであり、現金待機による非効率を削減する。

同社デジタル資産部門責任者のWill Peck(ウィル・ペック)氏は、「即時決済はブロックチェーンとRWA(現実資産)トークン化が掲げてきた本質的な約束の一つだ」と述べ、SECおよびFINRA(米金融取引業規制機構)との協議を経て実現した点を強調した。規制上の構造革新としては、ETF(上場投資信託)導入以来の大きな転換点と位置付けている。

今回の承認により、取引はファンドと直接ではなく、ブローカー・ディーラーの在庫から決済される。これにより、既存のプライマリーマーケット構造を維持しつつ、24時間の執行が可能となる。

最初の参加ブローカーはウィズダムツリー・セキュリティーズだが、将来的には条件を満たす他社ブローカーの参加も想定されている。取引は取引所ではなく、同社が自己勘定で相対取引を行う形で実施される。

WisdomTree Connectで機関投資家へ展開

この機能は、機関投資家向けプラットフォーム「WisdomTree Connec」を通じて提供される予定だ。WTGXXはこれまで、オンチェーンでの財務運営を効率化し、オフチェーンへ移動せずに利回り資産へアクセスできる手段として活用されてきた。

既存のピア・ツー・ピア転送機能に加え、24時間取引と即時決済が組み合わさることで、ウォレット間や口座間での価値移転がシームレスに行えるようになる。将来的には、個人投資家向けの「WisdomTree Prime」などへの展開も検討されている。

継続的な配当計上を実装

同時に発表された「継続的配当計上」機能も注目される。これは、ブロックチェーンのタイムスタンプを活用し、各ウォレットがトークンを保有した時間に応じて日次収益を按分する仕組みだ。日中にウォレット間でトークンが移転した場合でも、保有時間に基づいて比例配分される。

これにより、ピア間取引を行う投資家も公正に利息を受け取ることが可能となり、24時間取引との組み合わせで、より高度なインターデイ運用が実現する。

トークン化資本市場の進展

今回の取り組みは、トークン化証券市場における大きな前進といえる。従来型の登録ミューチュアルファンドが、規制枠内で24時間流動性と即時決済を実装した点は、資本市場インフラの進化を象徴する。

ウィズダムツリーは、ETP(上場取引型金融商品)やデジタル資産関連商品、トークン化RWA、ステーブルコイン、ブロックチェーン基盤ウォレットなどを展開するグローバル金融イノベーターだ。今回のローンチは、同社が掲げる「新しい資本市場レール」の具体化ともいえる。

|文・編集:Shoko Galaviz
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