2026年3月2日〜8日の1週間は、日本発の政治的ミームコイン騒動、グーグルによるiOSマルウェア発見、そして米国・中東・ドバイにまたがる規制ニュースが重なり、暗号資産(仮想通貨)業界が多方面から揺れ動いた。
高市早苗首相の名を冠したミームコイン「SANAET(サナエトークン)」をめぐる騒動が週を通じて展開された。
NoBorder DAOが2月25日に発行したSANAETは、当初の期待感から発行後に約30倍まで急騰。しかし3月2日、高市首相本人がXで「全く存じ上げない。事務所も知らされていない。承認を与えたこともない」と明確に関与を否定したことで価格は急落した。
金融庁が調査を検討する事態に発展し、3月5日には発行元「Japan is Back」プロジェクトが正式な中止を発表。補償については関係各所と協議を続けているという。ミームコインが政治家の名称を無断で使用するリスクを改めて浮き彫りにした案件となった。
詳細:サナエトークン騒動時系列まとめ──発行・急騰から急落まで
グーグルのセキュリティ研究チーム「GTIG(Google Threat Intelligence Group)」は3日、iPhoneを標的とした不正プログラム「Coruna(コルナ)」を公式ブログで発表した。
最大の特徴は感染の容易さだ。偽の暗号資産取引所サイトにアクセスするだけで、ユーザーの操作を一切必要とせず端末に侵入する。iOS 13〜17.2.1に存在する23の脆弱性を組み合わせて悪用し、メタマスク・ファントム・トラストウォレットなど18種の主要ウォレットアプリが標的となる。
iOS 17.3以降では無効化されているため、最優先の対策はOSの即時アップデートだ。古い端末ではロックダウンモードの有効化が推奨されており、グーグルのセーフブラウジングが悪意あるドメインをすでにブロックしている。
詳細:iPhoneで偽サイトを開くだけで仮想通貨盗難──グーグル、今すぐ対策を
暗号資産取引所クラーケンが、米連邦準備制度(FRB)のマスターアカウントを取得した。暗号資産企業がFRBのコア決済ネットワークに直接参加する初の事例であり、銀行を介さない送金インフラの構築に向けた歴史的な前進とみられる。
一方、ドバイ仮想資産規制庁(VARA)は5日、クーコイン関連4法人に業務停止命令を発出。同日、MEXCを運営するMEXC Estonia OÜとMEXC Global LTDに対しても、VASP(仮想資産サービスプロバイダー)ライセンスなしに営業しているとして警告を出した。暗号資産ハブを標榜するドバイが、無認可営業への監督を強める姿勢を鮮明にした形だ。
また6日、SECはトロン創設者ジャスティン・サン氏との法的対立の終了方針を示した。関連企業レインベリーが約1,000万ドル(約15億8,000万円)の民事罰を支払うことで和解に向かう見通しで、2023年から続いた長期訴訟は終結へ向かう。
詳細:クラーケン、FRBマスターアカウント取得 / ドバイ規制当局、クーコインに業務停止命令 / ジャスティン・サン氏のSEC訴訟が終結
今週はサイバー脅威だけでなく、物理的・内部犯行型のリスクも相次いで表面化した。
6日には、米政府が管理していた暗号資産約4,600万ドル(約72億6,000万円)が不正に窃取される事件が発覚。犯行に及んだとされるのは委託先IT企業CEOの息子で、管理関連の内部情報を悪用してウォレット移転を行い、SNSで資産を誇示したことが発覚のきっかけとなった。FBIがカリブ海で容疑者を逮捕している。
8日には、ブロックチェーン企業Block Infinity創設者でトレーダーのウェスリー氏が、自車のエンジンルームから「PAD」刻印の小型追跡器を発見したとXで公表。ロサンゼルス市警(LAPD)に通報し、業界関係者に同様の被害への注意を呼びかけた。CertiKの報告では2025年の「レンチ攻撃」は前年比75%増の72件、被害総額は4,090万ドル(約64.5億円)に達している。
詳細:米政府管理の暗号資産72億円窃取──委託先CEO息子を逮捕 / 仮想通貨トレーダーを狙う追跡器──車のエンジンルームで発見
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は4日、大阪・堂島浜タワーを対象とした224億円規模の不動産セキュリティ・トークン(ST)の公募・発行完了を発表した。MUFGグループ6社が参加した本案件によって、プログマSTの累計発行額はさらに拡大した。
また2日には、円建てステーブルコインJPYCがソニー銀行との提携を発表。銀行口座から直接JPYCを購入できる仕組みが整い、ステーブルコインの生活インフラへの統合が一歩前進した。
詳細:MUFG、大阪堂島浜タワーをトークン化──224億円の不動産ST発行完了 / JPYCがソニー銀行と初提携──口座から即時購入可能

